先手と後手に関する話
2014年1月18日 MTGに関する話最近抱いていた疑問、先手ってどのくらい有利?
基本的に自分の中にある大前提というのは成長を妨げる原因になるので、少なくとも前提ではなく納得した形で保存したいですね。
いつもなら自分の中で答えが出来てから書くのですが、今回はよく分かりません。
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■ プレイ or ドロー
ダイスロールであなたは勝利しました。
先手にしますか?後手にしますか?
少なくとも僕の前に座った人の99%は先手を取っていた(過去1度だけ後手を取られたことがある)
また「今日は全然ダイス勝てないよー」と、ダイスロールの敗北は「不運(マイナス)」の表現を持って使われる。
このことからも「MTG(構築戦)は先手が有利である」というのは大前提というのが共通認識だろう。
今回はその大前提の例外である「後手を取る可能性」について話してみたい。
■ 本当に先手は絶対有利なのか?
最近PTQを抜けた、そこのスイスラウンドの結果は7-1-1だが、この日のダイスロールの結果は2-6であり、負けた試合は先手のときであり、逆に後手勝率は100%となっている。
この結果を含め、最近黒単をよく回していたが、先手後手による有利・不利をあまり感じなかった。
ここで、一つの試みを行ってみた。実際の大会結果の先手後手勝率を出すことである。
基本的に自分は先手後手を記録していないため、代わりにDNの大会記録に先手後手と勝敗を記録しているユーザー一人の過去ログを漁り、その人の先手勝率と後手勝率を調べてみた。(本人許可を得ていないし、得るのも面倒なので誰のDNかは伏せる)
所詮目安程度なので数は少ないが合計54戦を調べてみた。そのうち先手が33回、後手が21回。使っていたデッキは早いアグロ(特に先手有利が提唱されそうなデッキ)ではないとだけ述べておく。
先手勝率 23 - 10 (69.6%)
後手勝率 14 - 7 (66.6%)
この数値の意味の無さを述べておく。
・デッキの構成や当時のメタゲーム等の前提の異なるデータの混ぜ合わせであること
・サンプル数が少なすぎること
そういった問題点全てを廃した上で数値だけを見ると、大体差は3%。因みに後手が 16-7の場合69.5%となるため、ここから後手で2連勝するとほぼ同じ確率になる。思った程大きな差にならなかった。それでも多少は先手有利なのだろうか。
■ 先手絶対有利論はどこから来るのか
先手
・先に高いマナ域に到達出来る
・先にコンバットを行える
後手
・先にカードを引ける
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先手有利論は何故ここまで一般的になったのか、その理由として思いついたのは「先手有利は非常に説明しやすさ」があるからだと思う。
・互いに除去の無い先出し《群れネズミ》
・黒単先手なら相手ハンドの《ボロスの反抗者》を抜くことが出来る
・《審問官の使い魔》の存在
etc
先手側が有利な状況を挙げてみろ、と言われたときに挙げられる例示は他にもたくさんある。
では、後手が有利な状況を挙げてみろ、と言われたときにそれはパッと思いつかない。
「互いに消耗戦になり、トップ勝負になったとき」と言う具体性の無い漠然とした表現になってしまう。
この後手有利説の具体性の低さが先手有利説を更に推し進めてしまっているのではないかと感じている。
「相手の先手思考囲いでこちらの囲いを落とされ、ネズミを出され、こちらもネズミを出し返したものの負け」
黒単なら味わったことがある負け方の一つかもしれない。
これは先手有利説を推し進めるものだ。
しかし仮に、こちらのハンドに除去が複数や2枚目の囲いがあった、場合によっては後手のドローでトップデッキをし、無事相手の群れネズミに当てられたとする。
その瞬間、両者に明確な差は無くなる、それどころかカード1枚多く保有する後手の方が有利と言える。1:1交換を繰り返した先、そこにあるのはカードを1枚多く引いている後手の勝利だ。
だが、先ほどの状況は確かに後手が僅かに有利と言える。
しかしここから先手が勝っても誰も驚かないだろう。そのくらい後手の有利は微妙なものだ。
後手有利説が全く出てこない理由の一つ。
「先手の有利はゲームを決めるが、後手の有利にはそれがない」
後手の有利は具体的な盤面ではなく、長いゲームプランの上の方針として存在する。
だからこそ、人には伝えにくいし、伝わらない。そして、先手での勝利(後手での敗北)は具体的な盤面や状況を残すため印象に残りやすい。一方、後手の勝利はトップ勝負に勝った、という形で置換されてしまう。
■ 後手を取る(1)
後手のメリットで分かりやすいことはキープ時にデッキトップの更に1枚にまで期待ができることだ。
その利を生かし、後手を取ることが一般的な戦いが存在する。
重コントロール対決だ。
序盤の1マナに特に意味も無く、淡々と土地を並べ続けることが要求される。
その上で必要なのは後手のワンドローというのは非常に分かりやすい。
■後手を取る(2)
そういった重コントロール同型以外に後手を取るときは存在するだろうか。
僕は過去数度意図的に後手を取ったことがある。その一つを例示したい。
当時環境最速のデッキだった感染。このデッキで後手を選択した。相手は同型だった。
感染と言うと、2killすら可能な最速のデッキ。そこで後手を選択したことには自分なりの理由がある。
墨蛾、マンバ、マイアは全てはらわた打ち、四肢切断で対処可能だ。メリーラ、呪文滑りなど対処しないとゲームが進まないカードも存在する。また感染特有の能力により基本的にクリーチャーは相打ちに持ち込むことが可能だ。
そして互いに非常に軽いため、後手が何も出来ずに死んでしまうパターンは非常に少ない。
そのため、エルフは相打ち、メリーラや滑りには四肢切断、そしてそれを守るカード、といった形でゲームは互いに手札のカードを1:1で交換し続ける形になる。
互いにカードを1枚ずつ交換し続ける状況。これこそが後手を選択する瞬間となる。
この戦いに存在する勝利への道は
「先手1t目エルフからの怨恨、怨恨、剛力化で2~3tKill」という”分かりやすいイメージ”ではなく、「互いに1:1交換を繰り返していく」という”ゲーム展開を把握すること”だ。
そのゲームプラン上には後手を取る意味が現れてくる。
■ まとめ
先手が有利な状況というのは間違いなく存在する。しかし、先手が有利な状況が存在してもそこに至れないのでは意味が無い。
「感染は2tkillが発生するから先手有利」。本当だろうか?
はらわた打ち、精神的つまづきの群れの上から2tkill等絵に描いた餅に過ぎない。
それならば1枚の利を得られる後手の方が良いだろう。「後手だからキープ」「後手だからマリガン」と言ったキープに対しての幅を得られることも忘れてはならない。
確かに先手が有利なときは多い、多くは先手を取るべきだろう。
しかし自分はどういった展開を期待、予測してそこに至ることが可能か判じた上で先手を取るべきではないか。
「後手を取る可能性」。
これを考慮することはゲームプランを立てるというMTGで大切なことを考えることになる。
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僕の中でも先手有利説というのは強く根付いています。本当に確固たる自信を持たない限り後手を取らないでしょう。
黒単同型は後手でも良いかもしれないと思ったりするのですが、負けたときにあえて後手を取ったせいで負けたと錯覚しかねないのが恐ろしいところです。
そういう変な裏目や錯覚が気持ち悪いので先手を取りたいです。だから先手を取る意味を補強するためにも強く殴る形を意識して先手でゾンビを残したりしています。
基本的に自分の中にある大前提というのは成長を妨げる原因になるので、少なくとも前提ではなく納得した形で保存したいですね。
いつもなら自分の中で答えが出来てから書くのですが、今回はよく分かりません。
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■ プレイ or ドロー
ダイスロールであなたは勝利しました。
先手にしますか?後手にしますか?
少なくとも僕の前に座った人の99%は先手を取っていた(過去1度だけ後手を取られたことがある)
また「今日は全然ダイス勝てないよー」と、ダイスロールの敗北は「不運(マイナス)」の表現を持って使われる。
このことからも「MTG(構築戦)は先手が有利である」というのは大前提というのが共通認識だろう。
今回はその大前提の例外である「後手を取る可能性」について話してみたい。
■ 本当に先手は絶対有利なのか?
最近PTQを抜けた、そこのスイスラウンドの結果は7-1-1だが、この日のダイスロールの結果は2-6であり、負けた試合は先手のときであり、逆に後手勝率は100%となっている。
この結果を含め、最近黒単をよく回していたが、先手後手による有利・不利をあまり感じなかった。
ここで、一つの試みを行ってみた。実際の大会結果の先手後手勝率を出すことである。
基本的に自分は先手後手を記録していないため、代わりにDNの大会記録に先手後手と勝敗を記録しているユーザー一人の過去ログを漁り、その人の先手勝率と後手勝率を調べてみた。(本人許可を得ていないし、得るのも面倒なので誰のDNかは伏せる)
所詮目安程度なので数は少ないが合計54戦を調べてみた。そのうち先手が33回、後手が21回。使っていたデッキは早いアグロ(特に先手有利が提唱されそうなデッキ)ではないとだけ述べておく。
先手勝率 23 - 10 (69.6%)
後手勝率 14 - 7 (66.6%)
この数値の意味の無さを述べておく。
・デッキの構成や当時のメタゲーム等の前提の異なるデータの混ぜ合わせであること
・サンプル数が少なすぎること
そういった問題点全てを廃した上で数値だけを見ると、大体差は3%。因みに後手が 16-7の場合69.5%となるため、ここから後手で2連勝するとほぼ同じ確率になる。思った程大きな差にならなかった。それでも多少は先手有利なのだろうか。
■ 先手絶対有利論はどこから来るのか
先手
・先に高いマナ域に到達出来る
・先にコンバットを行える
後手
・先にカードを引ける
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先手有利論は何故ここまで一般的になったのか、その理由として思いついたのは「先手有利は非常に説明しやすさ」があるからだと思う。
・互いに除去の無い先出し《群れネズミ》
・黒単先手なら相手ハンドの《ボロスの反抗者》を抜くことが出来る
・《審問官の使い魔》の存在
etc
先手側が有利な状況を挙げてみろ、と言われたときに挙げられる例示は他にもたくさんある。
では、後手が有利な状況を挙げてみろ、と言われたときにそれはパッと思いつかない。
「互いに消耗戦になり、トップ勝負になったとき」と言う具体性の無い漠然とした表現になってしまう。
この後手有利説の具体性の低さが先手有利説を更に推し進めてしまっているのではないかと感じている。
「相手の先手思考囲いでこちらの囲いを落とされ、ネズミを出され、こちらもネズミを出し返したものの負け」
黒単なら味わったことがある負け方の一つかもしれない。
これは先手有利説を推し進めるものだ。
しかし仮に、こちらのハンドに除去が複数や2枚目の囲いがあった、場合によっては後手のドローでトップデッキをし、無事相手の群れネズミに当てられたとする。
その瞬間、両者に明確な差は無くなる、それどころかカード1枚多く保有する後手の方が有利と言える。1:1交換を繰り返した先、そこにあるのはカードを1枚多く引いている後手の勝利だ。
だが、先ほどの状況は確かに後手が僅かに有利と言える。
しかしここから先手が勝っても誰も驚かないだろう。そのくらい後手の有利は微妙なものだ。
後手有利説が全く出てこない理由の一つ。
「先手の有利はゲームを決めるが、後手の有利にはそれがない」
後手の有利は具体的な盤面ではなく、長いゲームプランの上の方針として存在する。
だからこそ、人には伝えにくいし、伝わらない。そして、先手での勝利(後手での敗北)は具体的な盤面や状況を残すため印象に残りやすい。一方、後手の勝利はトップ勝負に勝った、という形で置換されてしまう。
■ 後手を取る(1)
後手のメリットで分かりやすいことはキープ時にデッキトップの更に1枚にまで期待ができることだ。
その利を生かし、後手を取ることが一般的な戦いが存在する。
重コントロール対決だ。
序盤の1マナに特に意味も無く、淡々と土地を並べ続けることが要求される。
その上で必要なのは後手のワンドローというのは非常に分かりやすい。
■後手を取る(2)
そういった重コントロール同型以外に後手を取るときは存在するだろうか。
僕は過去数度意図的に後手を取ったことがある。その一つを例示したい。
13《森/Forest》
4《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MB)》
4《戦の大聖堂/Cathedral of War(M13)》
4《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf(NP)》
4《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr(SM)》
2《荒廃のマンバ/Blight Mamba(SM)》
4《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NP)》
4《怨恨/Rancor(M13)》
3《レインジャーの悪知恵/Ranger’s Guile(IS)》
2《精神的つまづき/Mental Misstep(NP)》
2《はらわた撃ち/Gut Shot(NP)》
4《使徒の祝福/Apostle’s Blessing(NP)》
4《剛力化/Titanic Growth(M13)》
4《野生の抵抗/Wild Defiance(AS)》
2《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith(MB)》
サイド
4《吠え群れの飢え/Hunger of the Howlpack(DA)》
2《精神的つまづき/Mental Misstep(NP)》
2《呪文滑り/Spellskite(NP)》
1《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast(NP)》
3《四肢切断/Dismember(NP)》
3《ヴィリジアンの堕落者/Viridian Corrupter(MB)》
当時環境最速のデッキだった感染。このデッキで後手を選択した。相手は同型だった。
感染と言うと、2killすら可能な最速のデッキ。そこで後手を選択したことには自分なりの理由がある。
墨蛾、マンバ、マイアは全てはらわた打ち、四肢切断で対処可能だ。メリーラ、呪文滑りなど対処しないとゲームが進まないカードも存在する。また感染特有の能力により基本的にクリーチャーは相打ちに持ち込むことが可能だ。
そして互いに非常に軽いため、後手が何も出来ずに死んでしまうパターンは非常に少ない。
そのため、エルフは相打ち、メリーラや滑りには四肢切断、そしてそれを守るカード、といった形でゲームは互いに手札のカードを1:1で交換し続ける形になる。
互いにカードを1枚ずつ交換し続ける状況。これこそが後手を選択する瞬間となる。
この戦いに存在する勝利への道は
「先手1t目エルフからの怨恨、怨恨、剛力化で2~3tKill」という”分かりやすいイメージ”ではなく、「互いに1:1交換を繰り返していく」という”ゲーム展開を把握すること”だ。
そのゲームプラン上には後手を取る意味が現れてくる。
■ まとめ
先手が有利な状況というのは間違いなく存在する。しかし、先手が有利な状況が存在してもそこに至れないのでは意味が無い。
「感染は2tkillが発生するから先手有利」。本当だろうか?
はらわた打ち、精神的つまづきの群れの上から2tkill等絵に描いた餅に過ぎない。
それならば1枚の利を得られる後手の方が良いだろう。「後手だからキープ」「後手だからマリガン」と言ったキープに対しての幅を得られることも忘れてはならない。
確かに先手が有利なときは多い、多くは先手を取るべきだろう。
しかし自分はどういった展開を期待、予測してそこに至ることが可能か判じた上で先手を取るべきではないか。
「後手を取る可能性」。
これを考慮することはゲームプランを立てるというMTGで大切なことを考えることになる。
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僕の中でも先手有利説というのは強く根付いています。本当に確固たる自信を持たない限り後手を取らないでしょう。
黒単同型は後手でも良いかもしれないと思ったりするのですが、負けたときにあえて後手を取ったせいで負けたと錯覚しかねないのが恐ろしいところです。
そういう変な裏目や錯覚が気持ち悪いので先手を取りたいです。だから先手を取る意味を補強するためにも強く殴る形を意識して先手でゾンビを残したりしています。
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